No.18
あれ?
たとえばデパートのトイレに行ったとき、手を洗ったら、自分のハンカチかペーパーか乾燥機で手を乾かす。
でも、だいたいは自分のハンカチより、設置されているペーパーか乾燥機を使うのが普通かな。
その日も私は用を済ませたあと、乾燥機に手を突っ込んだ。
ところが・・・なかなか温風が出てこない。
あれ?おかしいな?なんでだろ・・・
あ・・・・・・・・
ゴミ箱
だ
お・わ・り
No.17
???
友達が振り返った姿があまりにもある動物に似ていたので、私はこう指摘した。
私「ねえ、ねえ。さっきのキョトンと振り返った姿さ、あれにそっくりだったよ。あれ、ほら。なんだっけ・・・え~っと、そう、レッパーサンダ!」
友達「・・・・・レッパー サン・・・・レッ
サーパンダ
じゃない?」
私「微笑」
お・わ・り
No.16
視線を集めて
私は仕事のため東京駅近くのビルに行った。
仕事を終えて、ビルを出ようとすると、なぜだか視線を集めている。
何、何?
その日、私はいつもより
きれいに化粧
をし、白い皮のコートなんぞを着ていたから、少しは視線を集めるのかな?
私は多少気分を良くしていた。
それからそのビルの近くにあるスタバに入った。
すると、奥にいた外国人客が私のことを見ている。
「やっぱり、見られてるなあ・・・」
ラテを注文し、その外国人より奥の席に行こうとすると、外国人が私を呼び止めた。
「一緒に茶でもしようってことかしら」
軽いナンパかなと思っていたら、その外国人が私の体の中心あたりを指さした。
「ん?」
見ると、右のポケットから白いイヤホンが飛び出ている。iPodを右ポケットに入れていたのだが、そのイヤホンが床にまで届いて、ずるずると引きずっていたのである。
外国人は親切にも教えてくれたというわけだ。
ってことは、私が視線を集めていた理由は・・・
お・わ・り
No.15
すごいかも・・・
仕事のために東京駅から新幹線に乗った。
のぞみ号に乗り込むと、私の席にすでに他の人が座っている。
あれ?
私は何度も自分のチケットと号車番号や席番号を確認した。
「やっぱり、合ってる」
私はおそるおそる、すでに座っている女の人に尋ねた。
「あのう、私の番号は10番のAなんですけど・・・・」
女の人は荷物を広げ、リクライニングを後ろに倒してすっかりリラックスしている様子だったが、私の声で体を起こし、自分のチケットを見た。
「あら、ごめんなさい。間違ったわ」
女の人はそそくさと荷物をまとめ、10番のD席に移っていった。
するとすぐに「やっぱり違うわ」と言いながら、今度は11番のA席、つまり私の後ろの席に移ってきた。
巻き髪で上品な感じの女性だったが、そそっかしいのだろうか。
「あのう、山崎さんですよね」
その女性は後ろから私に声をかけてきた。
「あ、はい」
私が答えると、「わあ、嬉しいわ。私が間違ったおかげで、私が座っていたところに山崎さんが座られるなんて、光栄です!」とニコニコと笑う。
「どちらに行かれるんですか?」
そう尋ねられたので、行き先を告げると、その女性も近くに行くらしい。
女性は立ったまま、なんやかやと話していたが、そこへ別の人が乗り込んできた。
「あのう、そちらの席なんですけど」
またもや彼女が座っている席だという人が・・・
すると彼女は「あら、間違ったわ。次ののぞみだったみたい」とケラケラと笑いながら荷物をまとめて出て行った。
私よりもすごいおっちょこちょいだ・・・
お・わ・り
No.14
慣れてないせいよ
日記。
4月23日:
夜8時45分。
人間ドックの前日9時以降は飲食禁止か。なんだかよけいにお腹が空いてきたなあ。
あと15分で食べられなくなるんだから、食べようっと。
あ、おいしそうなチョコクッキーだ。よし、いっぱい食べるぞ!
……う、気持ち悪い。食べ過ぎた。
4月24日:
朝7時。
起床。あ~、トイレに行きたい。でもおしっこしちゃいけないんだよな。
朝8時15分。
病院に到着。う、膀胱が破裂しそうだ。
私「あのう、トイレに行きたいんですけど、ダメですよね」
受付「いいですよ。でも婦人科のエコーをとるときに尿がたまってないといけないんで、その検査が遅くなる可能性もありますが」
私「そうですか。じゃあ、我慢します」
朝8時30分。
私「あのう、検査って何時からでしたっけ?」
受付「9時からです」
私「そうですか。我慢できないんで、いま尿をとります」
受付「それではこのカップに50ccほどとってください」
朝8時35分。
カップを持ってトイレへ。
「ふ~。すっきりした」と思いながら、トイレの中の注意書きを見る。
「中間尿を50ccほどとってください」
「あ、最初の尿をとっちゃった」
なんだ、起きたときにおしっこをしてもいいんじゃない。
朝9時50分。
バリウム検査。
えーっと、発泡剤は口の奥に入れるんだったよな。
よし、思いっきりいくぞ。
ぐ、のどの奥に入れすぎた。のどがヒリヒリする。
せ、咳が出そうだ。
朝10時30分。
婦人科検診。
医者「そちらでパンツを脱いで、こちらに来てください」
私「え?
パンツは脱いで、ズボンは履く
んですか?」
医者「……」
だって仕方ないじゃない。ひっさしぶりの人間ドックなんだから。
お・わ・り
No.13
私ったらすごいかもPart2
故郷の友だちの家に泊まった翌日のことである。
朝、友だちの家族と出かけることになり、家から数メートル先に止めてあった車に乗り込んだ。
が、忘れ物をしたことに気がつき、私は一人車を降りて、友だちの家に戻った。
ガラッと玄関をあけ、靴を脱いで自分が泊まった部屋に行く。
いや、行こうとして、なんだか妙な不安感に襲われた。
あれ? なんだか部屋の様子がおかしいぞ?
私は、あちらこちらと歩き回った。
あれ? 一部屋増えてる?
あれ? ふとんってこんなとこに積んであったっけ?
そして、ふと思った。
『もしかしたら、この家は……』
そそくさと靴を履いて車に戻り、私は尋ねた。
「家はどこ?」
友だちはあきれきった顔で、自分の家まで案内してくれた。
そう、なんと私は、
他人の家
にあがりこんでしまったのである。
だって、田舎だから鍵はかかっていなかったし、家の造りがとっても似てたんだもん。
やっぱり私の方向音痴(?)ってすごいかも。
私ったらやっぱりすごい!!
お・わ・り
No.12
私ったらすごいかも・・・
あるときのこと。
私はあるパーティーで、品のいいレストランに来ていた。
ワインをたっぷりと飲み、気持ちよくなった私は、急にトイレに行きたくなった。
そいでもってトイレに行くと、品のいいレストランだけに、トイレもとっても品がいい。
まず品のいいドアを入ると、そこから男子トイレと女子トイレに分かれている。
そいでもって女子トイレに入ると、どのドアも同じように品がいい。
つうか、最初の女子トイレのドアも、個室のドアもほとんど一緒の色・形。
見分けるとすれば、個室には鍵穴があるというだけ。
ふ~ん、すんばらしいねえ。
トイレっぽくないところがいいねえ。
私は妙に感心していた。
そして用を済ませ、いざこのトイレを脱出する段になって、さあ困った。
どこが女子トイレを脱出するドアなのかがわからない。
あまりにも、どのドアも似ているのだ。
私はていねいに鍵穴をみつけ、「これ違う、これ違~う、鍵穴があるから個室~」と一つずつつぶしていき、やっとこさ女子トイレを脱出した。
ところが、女子トイレは脱出できても、トイレ自体を脱出するには、もう一つドアがある。
『気をつけなければ……』
私は肝に銘じた。
そして、『よし、ここだ!』とドアを押した瞬間、中年のおじさんの声がした。
「そこ、
男子トイレ
ですよ!」
「……あ、す、すみません。あ~、またやっちゃいました!私、すっごい方向音痴で、女子トイレを出たら男子トイレに入るの、しょっちゅうなんですよ。今日はおかげで未遂でしたね、はっはっは」
早口でまくしたて笑ってごまかしたが、ここまでくると私の方向音痴は、すっごい天才的かも。
私ったらやっぱりすごい……
お・わ・り
No.11
一生に一度のこと・・・なのよ!?
私はある事務所で、基礎トレーニングの指導をしている。
指導対象は、事務所に所属する若い男性。
かっこいい男の子たちばかりである。
そこで私は「せんせい」「センセイ」
「先生」
と崇められている。
考えてみてほしい。
きれいな男の子たちに崇拝されている、この気持ちよさ。
私はずいぶんいい気になっていた……。
そんなある日のこと。
数日ぶりに指導場所へ行くと、生徒の一人が私に問いかける。
「これ、先生のですか?」
「え? これって?」
「これ」
彼の指さすほうを見ると、指導場所の隅っこに、なにやら白い布きれがある。
よくよく見ると、なんと
靴下
ではないか。
『そういえば、ダンスをするとき床が滑ったんで、あそこで脱いだんだっけ』
そばにいって確認すると、やはり私のモノ。
脱いだまんまのヨレヨレの形で、それもずいぶん薄汚れている。
「あ、そうだ。私の」
私は平然といってのけた。
「えぇ~ぇええ?!
先生のなんですかぁ?」
その男の子はやけにびっくりしている。
「そうだよ」
私は、親指と人差し指で靴下をつまみあげながら、そう答えた。
「俺たち、ずいぶんNさんに怒られたんですよ」
Nさんとは、彼らのマネージャーであり、教育係である。
「誰だ! この汚ったねえ靴下は。
だっらしない
ヤツだな。捨てちまえ!!」
と、相当カミナリが落ちたらしい。
ま、まずい。
このままでは私の威厳が失墜する。
「い、いや、あの、おかしいなあ、私らしくないね。こんな忘れ物をするなんて、
一生に一度あるかないか
、ぐらいのことだよ。まあ、私だって人間。こんなこともある」
私は必死で取り繕った。
なんといったって、私は「先生」。崇拝されている先生なんだから。
そんなこんなで、コトは最小限におさまった。
ところが、今度は彼らのお世話係のKさんが私に向かって尋ねる。
「そういえば、1週間ぐらい前にも、持ち主のわからない脱ぎっぱなしの靴下があったんですけど、まさか、それも先生じゃないですよね」
「え?いや、私じゃないです」
「白い、ルーズっぽいやつですよ」
Kさんは、保管していた靴下を取りにいき、しばらくして、その靴下を持って戻ってきた。
「これですけど」
「わ、わたしのです」
お・わ・り
No.10
ああ、勘違いPart4
地下鉄大江戸線を使って六本木へ。
改札口が近づいたので、切符を探すと、な、ない!
あれ?
どこにいったんだ?
ポケットの中、鞄の中、あちらこちらと探すが、やっぱりない。
仕方ない。
これは駅員さんに正直に言って、お金を払うしかない。
正直を売りにしている私は、あらかじめ財布を右手に持ち、すまなさそうな顔で駅員さんに言った。
「あのう、切符をなくしちゃったんですけど・・・・」
駅員さんは忙しいのか、相手にしてくれない。
「あのう、すみません。切符をなくしちゃったんですけど」
「はい?どちらに行かれるんですか?」駅員
「へ?」
何を言ってるんだろう、この駅員さんは。
どちらに行かれる・・ではなくて、どちらから来られたんですか、と聞くべきじゃないんかいな。
私が乗った場所を言おうとした瞬間、駅員さんが続けた。
「地上出口はそこですよ。改札はもう抜けたんじゃないですか?」駅員
「へ?」
あ、そうか。ここは地下鉄日比谷線の改札だ。
大江戸線の改札を抜けて、六本木の地上に出る出口の手前に、この日比谷線の改札口があるんだ。
もう、ややっこしいなあ。
ていうか、ついさっき改札を抜けたことを、すっかり忘れるんじゃない!!
もう、恥ずかしいなあ。
お・わ・り
No.9
納得
子供の頃、私はチョー田舎に住んでいた。
父親と母親と川の字になって寝ていたある日のこと。
私の顔の上を、つつつつつと歩いていったヤツがいる。
なんだ?
すっごく冷たい感触だったが、顔の上を這っていったその重さからすると、それほど大きなヤツではない。
暗闇の中での突然の出来事に、私は半べそをかきながら、母親に訴えた。
「母ちゃん、なんかいるよ!」
すると母親は、平然とした口調で答えた。
「カニやろ」
私「あ、そうか」……納得。
お・わ・り(ホントはネズミだったんだけどねえ)
No.8
あ・・・
駅の改札口。
切符を買って、あ、そうだ、電話しなきゃ。
私はあわててカバンから携帯をとりだし、友達に電話をかけた。
ぺちゃくちゃと話をしながら、ふと下を見ると、私が通っているダンススタジオの会員カードが落ちていた。
あ、いま私の横を通り過ぎた女性が落としていったのかな?
親切な私は、友達との会話より、そっちの方が気になってしょうがない。
早く拾って、今度ダンススタジオに行くときに届けてあげよう。
私は意気揚々とカードを拾い上げた。
あ、
私のカードだ……。
お・わ・り
No.7
ああ、勘違いPart3
松坂大輔くん人形が売っていた。
キーホルダーになっていて、説明文には、
「手を動かすと、僕の声が聴けるよ」
私は松坂くん人形に向かって、バイバイするみたいに必死に手を振った。
でも、な~んも聞こえない。
不良品かな、と思いながら、また手を振った。
やっぱり聞こえない。
あ、松坂くん人形の手を動かすんだ……。
お・わ・り
No.6
ああ、勘違いPart2
私の友達の話。
市役所に用事があり、受付で名前を聞かれた友達は答えた。
「のりこ(紀子)……のりは、せいきのき(世紀の紀)です」
すると市役所の若い女性は迷わず書いた。
「器子」
???
「せいき」を「性器」だと思うのは普通じゃないと思う。絶対に。
お・わ・り
No.5
私っていい人!?
私はけっこういい人である。
電車の中で空き缶を見つけると、ちゃんと拾うし、お年寄りを見ると、ちゃんと席を替わる。
その日も、私はけっこういい人だった。
電車の座席に座っていると、私の前に妊婦が立っていた。
もう6、7ヶ月ぐらいだろうか。
だいぶお腹も張り出してきて、立っているのも大変そう。
妊婦特有の長いワンピースを着て、靴はかかとの低いものを履いていて、お腹の子供への気配りが感じられる。
顔を見ると、まだ若そうなのに、ちゃんとお母さんしてるんだなあと、ただただ感心。
さ、早く席を譲らなくちゃ。
私はいい人になっていた。
そして、目の前の吊革に掴まっている妊婦に、温かな笑みを浮かべて問いかけた。
「おめでたですか?」
すると、その女性、聞き取れなかったらしく、
「はい?」と聞き返してきた。
私は声のトーンをあげて、もう一度聞いた。
「おめでたですか?」
女性は恥ずかしそうに……
首を振った。
「いいえ、ちがいます」
私「……す、すみません」
お・わ・り
No.4
そこまでおっしゃるなら
私の友達のK子の話。
彼女は、マッサージの天才である。
私がそこを揉んでほしいんだよなあ、と思っていると、その部分に吸い寄せられるように彼女の手が動き、
疲れている部分や、弱っている部分を指摘する。
マッサージの勉強などしなくとも、、つぼがどこにあるかを熟知しているらしい。
鍼灸院でも、手首の脈をとっただけで体調を言い当てる先生がいるが、
それに匹敵するぐらい、彼女の感性は優れている。
その彼女、マッサージをされる方も好きで、地方に出張に行くと必ずと言っていいほど、
ホテルの部屋にマッサージ師を呼ぶ。
その日も、出張先で仕事に疲れた彼女は、電話でマッサージをたのんだ。
そして現れたのは、目の不自由な女性のマッサージ師だった。
揉み始めて少しすると、マッサージ師は言った。
「お客さん、生理ですね」
K子は感激した。
この人はやはり目が不自由なだけに、
感性が鋭くなるんだな、手に触れる感触とかでわかるんだろうな……と。
どこを触ると、そんなことがわかるのだろう。
K子は興味深げに尋ねた。
「やっぱりわかりますか?」
マッサージ師は低く、何かを悟ったような声で答えた。
「そこまでおっしゃるならハッキリ申し上げましょう。さっき腰のあたりを揉んだとき……」
「……アンネ(生理用ナプキン)が手に触れたんです」
お・わ・り
No.3
おねえちゃんじゃないよ
私の親友にR子(仮名……当たり前だが)という、それはそれは男っぽい女性がいる。
彼女は幼い頃から女の子として扱われることが嫌いで、スカートを履くなんてもってのほか。
おやまの大将よろしく、男の子を引き連れ、悪さをしまくっていた。
大人になってからも、女性らしさとは無縁で男性に間違われることもしばしば。
ときにはそんな状況を有効利用し、長蛇の列になってしまっている女子トイレを尻目に、
何食わぬ顔で男子トイレに入っていったりする。
男性に間違われることに対し、いまではあまりいい気分はしないものの、
自業自得とあきらめ、「ま、しょうがないか」と慣れっこになっていた。
さて、彼女は銭湯の娘である。
ある日、手伝いを命じられ、番台に座ることになった。
そこへ、小学校低学年ぐらいの少年と父親という、親子が入ってきた。
父親「ほら、あのおねえちゃんにお金渡しといで」
少年は番台の上にお金を置きながら、チラッとR子の顔を見る。
そして父親の手を引き、男湯ののれんをくぐり、R子の視界から消えるやいなや、
興奮気味に声を上げた。
少年「お父さん、お父さん! あの人さあ、違うよ。おねえちゃんじゃないよ!」
R子は苦笑した。『またか……。おねえちゃんじゃないよ、おにい……』
心の中でそう思った途端、少年が叫んだ。
「おばちゃんだよ!」
お・わ・り
No.2
あんたに言われたかない!
テレビ局主催のスポーツ選手対抗ボーリング大会に参加したときのこと。
場所は足立区千住のマルアイボウリング場。
会場には、近所のおじいちゃんやおばさん、子供連れのお父さんなどであふれ、
なにやらアットホームな雰囲気になっていた。
そのなかに、彼らはいた。
一人は中学1年生ぐらいの男の子で、もう一人は小学3年生ぐらいの、男の子二人組。
彼らは出演者のサインをもらおうと数枚の紙を用意していた。
といってもお目当ての選手がいるわけではない。
有名人なら誰でもいい、テレビに出ている人なら、いや出る人なら誰でもいいという感じで、サインをもらう機会をうかがっていた。
オープニングのシーンを撮ったあと、私たちはひとまず休憩。
階下にあるレストランで昼食をとることになった。
そこに彼らも入ってきた。
二人でピザ1個とコーラ1杯を仲良く分けて食べながら、あたりを見渡す。
以下は、彼らの会話である。
中学生「もう2度と来ないかも知れないし、2度と会えないかも知れないから、
思い出のために誰でもいいからサインをもらっとくんだ」
小学生「でもねえ、どの人が出演者かわからないよ」
中学生「ばかだなあ。靴を見て見ろよ。出演者はボウリング用の靴を履いてるだろ。それで見分けがつくだろう」
小学生「そっか。でも、お相撲さんで履いてない人いるよ」(付き人のことらしい)
中学生「そうだな。でもお相撲さんだから一応サインもらっとこうよ」
小学生「あの人も履いてる。あ、あの人も」
小学生「あ、あの人さあ……」
私のことを見ている。
小学生「あの人さあ、子供じゃないの?」
いくら、いくら私が小さいからって、それはないんじゃないの!?
お・わ・り
No.1
ああ、勘違い
いまでこそ、友達も多くなった私だが、かつての私はそれはそれは人見知りの激しいやつだった。
友達といえば、そう「友達の輪」の一番上に載っているプロテニスプレーヤー佐藤直子さんぐらいだったのだ。
そんなある日、私と直子さんは芸能人やスポーツ人がわんさか集まる華麗なパーティーに出席した。
引っ込み思案の私は直子さんのそばにベッタリとついてまわり、直子さんはといえばガツガツ食べるばかり。
しかし、直子さんの顔の広いこと、広いこと。
あちらこちらに挨拶してまわり、私に紹介してくれる。
たわいない話に花を咲かせている直子さんは、光り輝いて見えた。
「いいなあ、知ってる人が多くて……」と羨ましく思ってるところに、いた! 私の知ってる人が。
そう、あの日本を代表するプリマドンナ森下洋子さんがいるではないか。
以前、1回だけお会いしたことがあるし、そのときに話もした。
私は急にうれしくなって行動的になり、
「直子さん、直子さん、森下洋子さんがいますから、紹介します」と、サッサと手を引っ張っていった。
森下さんは人混みから少し離れたところに、スーッとした姿勢で腰掛けていた。
「あのう、山崎浩子です。こんばんわ」
覚えててくれたかなと少し不安だったが、森下さんはニッコリと笑って応えてくれた。
「こんばんわ。いつもテレビでは拝見させていただいてます」と……。
なんか、会話がしっくりいかず、「それでは失礼します」とそそくさと、その場を後にしたが、
なんだか直子さんが腹を抱えて笑っている、というか泣いている。
「ひ、ひ、ひろべえ(私のニックネーム)、ひろべえ、ち、ちがうよ。い、ひ、ひひひ。あ、あの人は
ま、まつしま、と、ともこさん、だよ~」
な、なんとライオンに食われたとかいう松島トモ子さんだったのだ。
だって、小さな顔に、顔から落ちそうな大きな目。そして細く長~い首。
そっくりだったんだもん。
森下さん、松島さん、ごめんなさい。
お・わ・り


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